概要
概念的にマイクロアレイは組織や細胞の複数のmiRNA遺伝子の発現解析に理想的な方法です。
しかしながら、miRNA (microRNA) は、サンプル中のトータル RNA量の約0.01%程度しか存在せず、可能な限り非活性でラベリングすることが重要です。フィルジェンでは、GeneChip
TM miRNA Arrayを用いることで高感度検出を実現し、受託解析サービスをご提供致しております。
組織や細胞、totalRNA(smallRNAを含む)をお送りいただき、フィルジェンでサンプルの調整からハイブリダイゼーション、画像スキャン及び画像データ解析を行い、「MicroArray Data Analysis tool」を無償で添付して、データを納品いたします。
また、画像データ解析データは、バックグラウンド減算、ノーマライゼーション補正、比率算出などを行ったEXCEL形式ファイルとなっています。「Microarray Data Analysis tool」を用いることで、変動microRNAの抽出や、統計検定、各種グラフィック表示などができます。
また、「変動microRNA抽出」「統計検定」「クラスタリング」「microRNA機能推定 Gene Ontology解析」「microRNA機能推定 Pathway解析」など、データマイニングサービスもご提供いたしております。
サービス内容
- miRNAとは(fig.1)
miRNAは、21~23塩基対からなる機能性non-coding RNAです。その機能は、遺伝子発現の転写後抑制であり、複数のタンパク質と複合体を形成して標的となるmRNAに結合し、その翻訳を抑制しますが、RNAiと類似の機構により標的mRNAを切断する場合もあると考えられています(ref. Cell, 116, 281, 2004)。また、標的mRNAは、その認識が配列の完全一致だけでなく、ミスマッチも含まれるため複数あります。このように、miRNAが多くのmRNAを制御していることから、細胞増殖・アポトーシス・発生と分化・代謝などの多岐にわたり、その異常は癌などの疾患とも密接に関わっており、多くの生命現象に深く関わっています。 現在までに、数千のmiRNAが同定されています。
- アレイの詳細
Affymetrix GeneChipTM miRNA 4.0 Array(203生物種対象、Sanger miRBASE V20対応)
GeneChipTM miRNA Arrayは、低分子ノンコーディングRNA(miRNA、snoRNA、scaRNA)の役割や癌や疾患における重要性を研究するための強力なツールです。1993年に発見されて以来、低分子ノンコーディングRNA(miRNA、snoRNA、scaRNA)は、複雑な生命体の発生と生理機能の基礎をなす調節回路の主要構成要素として舞台に登場する様になりました。
その結果、異なるパターンで発現される遺伝子の生物学的背景を理解するためには、メッセンジャーRNA(mRNA)の発現に関する研究をmiRNA解析で補完することがますます重要になってきています。これらの主要な機能性遺伝子産物は、全タンパク質コード遺伝子の約30%を制御していると推定されています。加速するmiRNA研究に合わせ、アフィメトリクスは、GeneChipTM miRNA 4.0 Arrayを発売しています。
本製品は、以下の条件を満たす唯一のアレイです。
・全生物・snoRNAとscaRNAにおけるmiRBase V20カバー率100%
・全203生物種(30,424プローブセット)
・ヒトsnoRNAおよびscaRNA(1,996プローブセット)
・ヒト、マウス、ラットのmiRNA前駆体ヘアピン配列に特異的な3,770プローブセット
フィルジェンでは、アフィメトリクス公認受託サービスプロバイダーとして、このアレイを用いて、受託解析サービスをご提供致しております。
GeneChipTM miRNA 4.0 Array data sheet(PDF)
パフォーマンスの仕様 | miRNA4.0 Array |
Reproducibility(inter and intra lot) | >0.95 |
Transcripts detected at 1.0 amol | 85% |
Dynamic range | >4 logs |
Total RNA input | 130~1,000ng * RNA品質チェックも含めて、1μg(0.1μg/μL)をご用意して頂いております。 |
Probe feature size | 11μm |
Probe length | Up to 25mer |
アレイコンテンツ | miRNA4.0 Array |
miRBase Version | Release 20 |
Ensembl(bioMart Export) | Release 73 |
snoRNAbase | Version 3 |
mirTarbase | Release 4.5 |
Microcosm Targets | 11/2013 |
Organisms(including viruses) | 203 |
Total mature miRNA Probe Sets | 30,434 |
Probes/Probe Set for mature miRNA | 9 |
Human mature miRNA | 2,578 |
Mouse mature miRNA | 1,908 |
Rat mature miRNA | 728 |
Human snoRNA and scaRNA | 1,996 |
Human pre-miRNA | 2,025 |
Mouse pre-miRNA | 1,255 |
Rat pre-miRNA | 490 |
ピアソンの積率相関係数は、シグナル中央値または検出プローブセットの倍率変化から算出。3回反復試験を行ったときのp値の中央値が0.06未満であった場合に、そのプローブセットを検出したと定義。各標識反応を用いたトータルRNAは100ng。(fig.2)
A.ヒト脳でmiRNA 3.0 Arrayを用いて検出されたmiRNAのRMAシグナル中央値の相関。
B.miRNA 3.0 Arrayを用いて検出されたmiRNA、miRNA前駆体、sno/scaRNAのRNAシグナル中央値の相関。
青:miRNA、黄色:CDbox、赤:HAcabox、緑:snoRNA、黒:scaRNA、赤紫:miRNAステムループ型前駆体、深緑:5.8S rRNAコントロール